【感想】「空也上人がいた」/新井英樹

空也上人がいた」/新井英樹

空也上人がいた (IKKI COMIX)

空也上人がいた (IKKI COMIX)

 

あらすじ

 特別養護老人ホームに勤めるまじめで寡黙な青年、草介は入居者を放り出した罪の意識から、ホームを辞めてしまう。そんな草介に、ケアマネジャーの重光は独り暮らしの老人の在宅介護を紹介する。

感想

 山田太一氏の小説が原作のこの漫画。新井英樹氏と言えば「ザ・ワールド・イズ・マイン」や「キーチ!!」みたいな社会を力で打ちのめすようなインパクトのある作品の印象が強いですが、今回は打って変わって静かな作品です。

 罪の意識を背負い絶望しながら生きていた草介に、老人が与えようとした希望とは、一緒に歩いてくれる人でした。罪を許すでもなく裁くでもなく、全てを知ったうえでただ一緒に歩いてくれる人、それは空也上人であり、老人であり、ケアマネの重光さんだったのだと思います。

 罪を背負ったままで、それでも希望を見出して前を見て歩いて行く。それが老人が草介にさせたかったことじゃないでしょうか。